世間から隔絶された山奥で暮らす一族の少女。神や自然の声――言霊を見聞きする巫女として生きてきた彼女は、最後の生き残りとなった果て、誰からも忘れ去られた少女となって幻想郷に至る。
山に放り出された少女は、時に河童に救われ、時に死神に導かれ、ただただ人里を目指す。
時に妖怪に殺されかけながら、時に魔法使いの怒りを買いながら、それでも孤独な少女は言霊の力と共に、新たな居場所を手に入れるのであった。
しかし、辿り着いた人里で暮らし始めた少女は、思いもよらぬ現実を突きつけられることになる。
己の知らない、己の過ちを。
顔も名も知らぬ者から、その怒りを。
初めての友からの、拒絶を。
大切な人のため、幻想に生きる者として認められるため、未だ人と世界を知らない少女は神の試練へ挑む――
これは、幻想少女恐怖シリーズの語り部が幻想郷に至ったときの贖罪の記録である。