仙人である豊聡耳神子は、増えた弟子たちに自分の時間を削られながらも
 高みへ至るための修行の傍ら、復活した幻想郷で穏やかに暮らしていた。
 ある朝、そんな神子の目を覚ましたのは自らの声もろくに聞こえぬ爆音だった。
 すわ襲撃かと構えるも、廟の様子は普段と変わらない平穏そのもので、神子以外の住人は爆音などないように話しかけてくる。
 変わっていたのは、自分だった……?
 この耳が、狂ってしまった……?
 人々の声を聞くために与えられた聴覚の才。それが失われたという疑惑に至った神子は
 それを隠してしまった見栄に屈して一人頑なに解決を目指す。
 しかし、不器用に取り繕う神子にはまだ知る由もなかった。
 頭を揺らす爆音は始まりに過ぎないことを。
 己の変容と配下の不変の狭間には、人の埒外に蔓延る化物の呼び声が満ちているのだと。
 少女たちの「最も恐ろしいもの」について述べた、各巻完結型・幻想少女恐怖シリーズ第13弾。

仕様:文庫128P
初版:コミックマーケット92一日目ユ16a
頒布価格:700円
本文:五十嵐月夜
絵: ZYANNA
委託: メロンブックス
サンプル: 一章まるごと (pixiv)