幻想少女恐怖シリーズ第八弾

『赤蛮奇は顔が怖い』

 人里で暮らす妖怪・飛頭蛮の赤蛮奇は、変わらない日々に飽いた末に陶芸という趣味を見出し、人間に紛れて 作った器を売りながら、そこそこ充実した暮らしを送っていた。
 そんな中、自分を遠巻きに見つめる男の存在を悟る。正体に気付かれたか、と彼を捕まえて吐かせたその動機 は、赤蛮奇の作る器に魅入られたというものであった。
 器を介して不器用に繋がっていく二人。
 傍から見れば恋仲でしかない生活。
 だが、その関係が歪なものにならないわけがなかった。
 赤蛮奇にとって、自分が妖怪であるという認識は確固たるものであり、他人と触れ合わぬ彼女には顔色を伺う ことすら満足にできなかったのだから。
 そして歪な関係は、歪に組み合わされた不可避の未来を形作る。
 少女たちが抱く『最も恐ろしいもの』をテーマにした、各巻完結型の幻想少女恐怖シリーズ第八弾。